松島湾沿岸は、東京湾や霞ケ浦沿岸とならび縄文時代の貝塚が密集する地域として知られています。しかも、縄文時代を通じてほとんど変わらない松島の自然環境が、縄文人の豊かな生活を支え続け、多くの貝塚を残しました。中でも、松島湾の湾口部に位置する里浜貝塚(東松島市)、大木囲貝塚(七ヶ浜町)、湾奥部の西ノ浜貝塚(松島町)では長期間にわたって拠点的なムラが営まれ、大規模な貝塚が形成されました。これらの貝塚の調査研究の歴史も古く、大正期から貝塚研究の舞台となり、これまで縄文土器や骨角器の研究、人骨、生業・食生活の解明等、多くの成果を上げてきました。 今回の企画展では、国の史跡にも指定されている松島湾の三大貝塚に焦点を当て、それぞれの貝塚の特徴とともに、縄文土器や人骨、動物遺存体研究をとおして、これらの貝塚が日本の貝塚研究の中で果たしてきた成果を紹介します。